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ギムレット

第9章 カカオフィズ  恋する胸の痛み

シュウの家は最寄り駅から徒歩10分。ちょうどタクの住む家とは真逆の方向だった。

 
初めて入るシュウの家。

玄関を開けると、まず一番に感じたのは、彼から漂う匂いと同じ、家全体からシトラスの香りがした。


玄関は白い壁が明るさを強調する。

入ってすぐ通路の右に扉があり、「仕事部屋」と彼が言ったように、書斎に使用している部屋があった。

彼の仕事を象徴するような、床から天井まで高さのある本棚が壁に沿って設置され、ギッシリと難しそうな本が並んでいる。

その手前に黒いワークデスク、デスクの上にはデスクトップパソコンやノートパソコン3台が所狭しと置かれていた。

調べ物の途中で放置した本が、ワークデスクの上や床に少しだけ散乱していた。


「片付け苦手なのよ」と言っていたが、いかにも男の部屋という感じがして、逆に安心する。



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