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ギムレット

第9章 カカオフィズ  恋する胸の痛み

今回の出張で購入してきてくれたお土産を開封してみたり、現地で購入してきたコーヒーを飲みながら、お互いが好きな映画の話や、海外に行った時にニューヨークでみたミュージカルの話などを聞かせてくれた。


「私も洋画やミュージカルが好きだけど、シュウみたいに英語が分かるわけじゃないから……いつも字幕を読んでるだけで精一杯。こういう時に、英語ができたらな。っていつも思うよ」

「今から学べばいいじゃん」

「でも、今更頑張っても……」私はちょっと卑屈な言い方をした。


「何かを学ぶのに遅いとかはないんだよ。学びたい、そう思う気持ちが大事っ!」



胸をポンッ!と叩いておどけて言う彼は、いつもポジティブ思考。


う~ん。と煮え切らない表情の私は、全てにおいてネガティブ思考。



「俺が教えてあげよっか?」


カウチソファで無防備に寛いでいた私の耳元で彼が囁く。


「なんなら……ベッドでどう?」


ジョーク、おっさんジョーク。といつものように笑った後に、ほんの少し真顔になった。



「ちゃんと言っただろ。警戒アンテナ、全開にしとけ。って……」

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