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ギムレット

第9章 カカオフィズ  恋する胸の痛み

「この間、言ってた彼とは……まだ続いてるんだよね?」

「あっ……う、」私はコクンと頷いた。


あっ、オッサンちょっとだけ嘘吐きになっていい?と断りを入れてから、私を抱きしめた。


「なんか……悔しいな。そいつは俺の存在を知らないのに、俺は姿形は知らないけど、そいつの存在を知ってる」



「なんか……嫉妬する」



────シュウ



「でもメグが気にする必要ないよ。それを俺は分かってても一緒に居たい。って俺自身が望んでるんだから」

「でも、私はシュウのような人には相応しく……」


シュウはそっと私の唇を手でふさいだ。


「俺はただ、お前がいい。メグだけが好きなんだよ。」




シュウは……温かい。彼の言葉は、タクとは違った温かさと安らぎをくれる。


お互いの頬が触れ合う。彼から微かなシトラスの香りがする。

タクが魅惑の香りなら、シュウは安らぎの香り。



彼の唇が私の唇を包む。


私は、また……拒めない


この間のソフトタッチなライトキスとは違い、チュッ!という音が聞こえてきそうなバードキスに始まり、下唇を軽く噛んで、顔を左右にふるスウィングキス、少しづつ唇や舌を激しく吸ったり絡めたりしてインサートキスからカクテルキスに進んでいく。


シュウは大人だ。私をきちんとリードしてくれる。

私はただ、彼に身を任せたままにしていればいい。


「これ以上は、しないよ」


肉欲だけの目的で私を見ない。


「こんな風に誰かを愛おしいと……愛おしすぎて胸が苦しいの、初めてだよ。だから……大切にしたい」


大切にしたい。その言葉が嬉しいのに……



なのに……



シュウを失いたくないと思いながら、同時にタクへの懺悔の気持ちが拭えない。

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