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ギムレット

第10章 スティンガー  危険な香り

「とりあえず、何かシェイクしたカクテルを1杯、作ってもらおうかな」

「何かお好みはございますか?」

「そうね、じゃあ、君の得意なカクテルを頼むよ」

「ベースのアルコールにご注文はございますか?」

「それもおまかせで」

「かしこまりました」



シェーカーに氷を入れ材料を入れていく。メジャーカップで材料を入れた後に、ボトルを手慣れた手つきで客に見えるように置いていく。


ブランデー
ホワイト・ペパーミント

2種類の材料を入れ終わると、タクはシェイクした。


その動作は無駄がなく、氷がシェーカーの底にぶつからないように、手首のスナップを利かせながら、押し出すように綺麗な円を描いていく。


その姿に一瞬、目を奪われ「うまいもんだな」と言う。


シェイクが終わり「ありがとうございます」そう言うと、シェイクし終わった酒をカクテルグラスに注ぎこんで、シュウの目の前に差しだした。


「おまたせしました。スティンガーでございます」


出されたカクテルを見て、シュウは先ほどとは違った険しい顔つきで向かい合う相手に視線を送った後、フッと笑い「お前……察しがいいね」と言った。


タクは他の客に気づかれないように、一瞬だけシビアな顔つきで言い放った。


「ハルさんから、話は聞いてます」


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