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ギムレット

第13章 アフィニティ  触れ合いたい

私だって……客とキスくらいしてる。

客は店に通えば通うほどに、独占欲が強くなり、それでも、売り上げの為、自分の生活の為…………キスくらいどうってことない。そう思ってた。


自分だって、同じようなことを繰り返してきたじゃない。好きでもない客相手に平気でキスしたことだってあるじゃない。



タクがキスしていたところを見たからって…………何?



そう思ってる。頭ではそう思ってる。



なのに……自分のことは棚に上げて、相手が同じことをしているところを見ると、どうしてこんなにも苦しい気持ちになるの?




私は、タクに抱かれたあの日…………


客とキスしているところをタクに見られた。

ただ自分に肉欲を求めるだけの中年男の客とのキスを…………



私は、タクとの関係で…………それを浄化したかった。



タクに抱かれたかった。触れられたかった。抱きしめられたかった。



そう……心のどこかで


例え肉体から始まった関係でも、あの人と過ごした時のような時間を



…………もう一度


…………この人と



”普通の恋がしたい”



抱かれながら、本当はそう思ってた。


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