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風鈴が鳴らない時

第3章 散りぬる


「良いんですか?本当に?」
「はいどうぞ…是非大切にして下さいね」
「はい!そうしますっ!!」

僕の答えに、おじいちゃんは満足げに言った…。
「うん…いい返事だ…きっと君も大切にしてもらえますよ」

りーん…

「…他に、お困りごとは有りませんか?」

この時、早くフリーマーケットに行きたいという気持ちが優先して…僕が誰に大切にしてもらえるか?ということや、微かな音とか…あまり気にならなかった。

ここからフリーマーケットの会場への道を調べようと思って、地図アプリを起動しながらおじいちゃんの質問に答えた。

「実は…ココに来るとき迷子になったんです…え~っと実際には、なってなかったんだけど…でも、とても怖くて…」
「では、よく知る場所まで案内しましょう」

案内するって言ったって、そんなにユックリ歩かれちゃあ今日中に帰れないよ!?と思いながら顔を上げると、そこはフリーマーケットの会場から目と鼻の先の場所だった。

驚いておじいちゃんのいた方へ振り向いても、もぅそこにおじいちゃんの姿も雅楽蛇も無かった。

風景がガラリと変わってしまう…その直前、綺麗な音が聞こえた気がした。

りーん…


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