じゃん・けん・ぽん!!
第15章 第2回戦
健人は気がついた、晃仁の言動に矛盾があることを。
もし、下駄箱交換をしたくない理由が、その手紙であって、それで負けてほしいというのならば、だ――。
――さっきはなぜ、相手の出す手を探ってくると言ったのだろう。
負けてほしいと健人に頼むからには、相手の出す手を探って、それを健人に報せるはずがない。
「どういうことだよ」
健人はその矛盾を問い詰める。
「それは――」
さすがの晃仁も即答はできないようだった。まるで教師に怒られた小学生のように、目を泳がせて答えに迷っている様子だ。
「裏切ったんだな」
健人は核心をついた。
「ごめん」
晃仁は素直に謝った。
「ごめん!」
晃仁はひと際大きな声でもう一度そう言ったかと思うと、突然両膝を地面についた。さらに、間を置かずに今度は両手をつく。そして背中を真っ平にして、
「本当にごめん!」
もう一度そう言った。いや、言ったというよりは叫んだ。
「なんで裏切ったんだよ」
いくら友人とはいえ、また、その友人がいくら土下座をしているからとはいえ、すぐに許す気にはなれなかった。理由によっては拳に訴える決心さえあった。
晃仁は顔をあげて健人を見あげると、その理由を語り始めた。
「はじめは本当のことを言って、負けてもらおうと思ったんだ。でも、それが無理だと思った。だから嘘を」
「無理って、どうしてそう思うんだよ。おまえの言うことだったら、少しくらいは耳を傾けるってのに」
「いや、無理だと思う。だって健人は――」
そして、晃仁はある人物の名前を口にした。そして、健人がその人物の毒牙にかかっていると言った。
毒牙にかかっているとは、ひどい言いようだと思う。そう言うと、
「ほら、だから説得は無理だと思ったんだ」
と晃仁は言った。地面についていた両手をあげ、晃仁はまるで地面に正座をしているかのような体勢になった。
「今、反発しただろ。そういう反応をすると思ったんだ。だから説得は無理だと思ったんだ」
「う――」
もし、下駄箱交換をしたくない理由が、その手紙であって、それで負けてほしいというのならば、だ――。
――さっきはなぜ、相手の出す手を探ってくると言ったのだろう。
負けてほしいと健人に頼むからには、相手の出す手を探って、それを健人に報せるはずがない。
「どういうことだよ」
健人はその矛盾を問い詰める。
「それは――」
さすがの晃仁も即答はできないようだった。まるで教師に怒られた小学生のように、目を泳がせて答えに迷っている様子だ。
「裏切ったんだな」
健人は核心をついた。
「ごめん」
晃仁は素直に謝った。
「ごめん!」
晃仁はひと際大きな声でもう一度そう言ったかと思うと、突然両膝を地面についた。さらに、間を置かずに今度は両手をつく。そして背中を真っ平にして、
「本当にごめん!」
もう一度そう言った。いや、言ったというよりは叫んだ。
「なんで裏切ったんだよ」
いくら友人とはいえ、また、その友人がいくら土下座をしているからとはいえ、すぐに許す気にはなれなかった。理由によっては拳に訴える決心さえあった。
晃仁は顔をあげて健人を見あげると、その理由を語り始めた。
「はじめは本当のことを言って、負けてもらおうと思ったんだ。でも、それが無理だと思った。だから嘘を」
「無理って、どうしてそう思うんだよ。おまえの言うことだったら、少しくらいは耳を傾けるってのに」
「いや、無理だと思う。だって健人は――」
そして、晃仁はある人物の名前を口にした。そして、健人がその人物の毒牙にかかっていると言った。
毒牙にかかっているとは、ひどい言いようだと思う。そう言うと、
「ほら、だから説得は無理だと思ったんだ」
と晃仁は言った。地面についていた両手をあげ、晃仁はまるで地面に正座をしているかのような体勢になった。
「今、反発しただろ。そういう反応をすると思ったんだ。だから説得は無理だと思ったんだ」
「う――」