じゃん・けん・ぽん!!
第16章 暗中躍動
「この下駄箱だと思うんだ。この裏に、会長の書いた手紙があるはずなんだ」
晃仁も始めて見たが、おそらくそうに違いなかった。下駄箱は二つあって、その二つは横並びになって密着している。そして、その後ろは壁になっている。
一見隙間はないように見えるが、二つの下駄箱の間には、ほんの僅かに隙間がある。1ミリにも満たないくらいの狭い隙間だ。しかし、ノートの紙の一枚くらいだったら難なく入ることだろう。
晃仁はその隙間へ目を近づけて覗いて見たが、明かりが心もとないせいで見ることはできなかった。隙間は、ただの黒い闇だ。でも、謝って落とした手紙が入り込んでしまうとしたら、この隙間くらいのものだ。
「本当にそんなところに、会長の書いた手紙なんてあるのか」
「そのはずだけど」
見えないのだから、これはもう下駄箱を動かしてみるしかない。
「手伝って、くれないかな」
晃仁は懇願するように健人の顔を見た。
健人はやれやれと言った様子で溜息を吐きながらも、
「わかったよ」
と応じてくれた。こんなことに力を貸してくれるのだから、健人は思いやるのある人物だと晃仁はあらためて思う。この善き友人を、やむを得なかったとはいえ、晃仁は騙そうとしたのだ。その罪悪感は、とても消えるものではなかった。
健人はさっそく下駄箱に触っている。しかし、どうしても持ち上がらないようだ。
「どこを掴めばいいのやら」
取っ手がなくては、さすがに持ち上がらないだろう。でも、取っ手さえあれば、健人の力なら動かせるはずだ。隙間に手が入るくらいの、ほんの僅かな移動でいいのだ。
「こうすれば、どうかな」
晃仁は、真ん中よりもやや下の位置にある靴箱の扉を、ふたつ開いた。
晃仁も始めて見たが、おそらくそうに違いなかった。下駄箱は二つあって、その二つは横並びになって密着している。そして、その後ろは壁になっている。
一見隙間はないように見えるが、二つの下駄箱の間には、ほんの僅かに隙間がある。1ミリにも満たないくらいの狭い隙間だ。しかし、ノートの紙の一枚くらいだったら難なく入ることだろう。
晃仁はその隙間へ目を近づけて覗いて見たが、明かりが心もとないせいで見ることはできなかった。隙間は、ただの黒い闇だ。でも、謝って落とした手紙が入り込んでしまうとしたら、この隙間くらいのものだ。
「本当にそんなところに、会長の書いた手紙なんてあるのか」
「そのはずだけど」
見えないのだから、これはもう下駄箱を動かしてみるしかない。
「手伝って、くれないかな」
晃仁は懇願するように健人の顔を見た。
健人はやれやれと言った様子で溜息を吐きながらも、
「わかったよ」
と応じてくれた。こんなことに力を貸してくれるのだから、健人は思いやるのある人物だと晃仁はあらためて思う。この善き友人を、やむを得なかったとはいえ、晃仁は騙そうとしたのだ。その罪悪感は、とても消えるものではなかった。
健人はさっそく下駄箱に触っている。しかし、どうしても持ち上がらないようだ。
「どこを掴めばいいのやら」
取っ手がなくては、さすがに持ち上がらないだろう。でも、取っ手さえあれば、健人の力なら動かせるはずだ。隙間に手が入るくらいの、ほんの僅かな移動でいいのだ。
「こうすれば、どうかな」
晃仁は、真ん中よりもやや下の位置にある靴箱の扉を、ふたつ開いた。