じゃん・けん・ぽん!!
第16章 暗中躍動
「ああ、なるほど」
健人は、晃仁があけた靴箱に手を両手を入れる。
「うん、これなら持ち上げらそうだ」
そして健人は、うんと唸って力を入れた。その時だった。
「何をしているのかな」
声をかけられた。振り向くと――。
二十人ほどの男子生徒が立っていた。十人は横に広がり、まるで校舎の奥へは行かせないぞといった様子だ。しかも、どの生徒も体格がいい。制服姿ではあるが、その裏には鍛え抜かれた肉体が隠れていることが想像できる。
まるで弁慶が集団でやってきたかのような雰囲気だった。
「い、いや」
健人も体格は大きいほうだが、相手がこの人数ではさすがに怯むだろう。健人でもそうなのだから、晃仁はなおさらだった。
健人は、靴箱から手を出して、答えに窮している。
「何してんだって訊いてンだよ」
弁慶集団の一人が、凄い声で言った。言いながら、相手は全員、一歩一歩と近づいてくる。反対に、晃仁と健人は後ろへさがる。
――ここで助けてもらうしかない。
晃仁はそう決断した。
「お願いします! 先輩!」
晃仁は叫んだ。同時に――。
校舎の奥からばたばたと大人数の走る音が聞こえたかと思うと、また別の一団が現れた。およそ二十人。弁慶集団と同じくらいの人数だ。その先頭に立っているのは――。
馬渕学だった。
いざという時のために、協力を求めておいて正解だった。
「柔道部一同、見参」
学が叫んだ。そして、弁慶集団の真ん中へ切り込む。そしてそのまま突き抜けると、反転して弁慶集団と相対した。
柔道部は、そのまま壁になる。弁慶集団はこちらへ近づけない。
「晃仁、早く手紙を回収しろ」
と、学は言った。
「は、はい! ありがとうございます!」
晃仁は頭をさげる。
「こんなことに先輩を使うとは、まったくお前は人をなんだと思っているんだか」
学はそう言って文句をつけたが、顔には笑みが浮いている。
「頼むよ、健人」
「お、おう」
健人は何が起こっているのか分からないといった様子ながらも、ふたたび靴箱に両手を入れた。うん、と気合を込める。がたりと音がして、下駄箱が僅かに持ち上がった。
健人は、晃仁があけた靴箱に手を両手を入れる。
「うん、これなら持ち上げらそうだ」
そして健人は、うんと唸って力を入れた。その時だった。
「何をしているのかな」
声をかけられた。振り向くと――。
二十人ほどの男子生徒が立っていた。十人は横に広がり、まるで校舎の奥へは行かせないぞといった様子だ。しかも、どの生徒も体格がいい。制服姿ではあるが、その裏には鍛え抜かれた肉体が隠れていることが想像できる。
まるで弁慶が集団でやってきたかのような雰囲気だった。
「い、いや」
健人も体格は大きいほうだが、相手がこの人数ではさすがに怯むだろう。健人でもそうなのだから、晃仁はなおさらだった。
健人は、靴箱から手を出して、答えに窮している。
「何してんだって訊いてンだよ」
弁慶集団の一人が、凄い声で言った。言いながら、相手は全員、一歩一歩と近づいてくる。反対に、晃仁と健人は後ろへさがる。
――ここで助けてもらうしかない。
晃仁はそう決断した。
「お願いします! 先輩!」
晃仁は叫んだ。同時に――。
校舎の奥からばたばたと大人数の走る音が聞こえたかと思うと、また別の一団が現れた。およそ二十人。弁慶集団と同じくらいの人数だ。その先頭に立っているのは――。
馬渕学だった。
いざという時のために、協力を求めておいて正解だった。
「柔道部一同、見参」
学が叫んだ。そして、弁慶集団の真ん中へ切り込む。そしてそのまま突き抜けると、反転して弁慶集団と相対した。
柔道部は、そのまま壁になる。弁慶集団はこちらへ近づけない。
「晃仁、早く手紙を回収しろ」
と、学は言った。
「は、はい! ありがとうございます!」
晃仁は頭をさげる。
「こんなことに先輩を使うとは、まったくお前は人をなんだと思っているんだか」
学はそう言って文句をつけたが、顔には笑みが浮いている。
「頼むよ、健人」
「お、おう」
健人は何が起こっているのか分からないといった様子ながらも、ふたたび靴箱に両手を入れた。うん、と気合を込める。がたりと音がして、下駄箱が僅かに持ち上がった。