
彼の愛は重い鎖のようで、
第2章 友達の定義
「ちょっと来い、乃亜。」
一輝は力強く私の腕を掴んだかと思えば、そのままズルズルと引きずっていき、希帆の姿も小さくなっていった。
「ちょ、どこ行くの!?一輝!」
「うるせー。ちょっと黙ってろ。」
掴まれた腕は痛いくらいに強く握られていて。
使われていない教室の前で止まった彼はそのまま何も言わず私を中へ押し込んだ。
「……い、一輝??」
「……。」
彼の無言が怖い。
また、あの時のように怒っている。
もう二度と彼を怒らせないと誓ったのに現実はそう甘くないらしい。
