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雨の贈り物

第1章 雨の日

俺が純の笑顔に見とれているのを余所に純は唐突にこんなことを聞いてきた。

「如月は雨で思い出すことってある?」

「???」

「雨に関する思い出とかさ。」

俺の頭に浮かんだのは小学校の頃に家族でキャンプをした思い出だ。
行った先は四国カルスト。
着いた時間は曇りだったのに夜になると大雨が降った。
テントの端が雨漏りして家族で引っ付いて寝たのだが、それが失敗だった。
夜中に弟に蹴られて唇を少し切ってしまった。
その話をすると純は大爆笑だった。

「あははっ!そりゃあ、災難だったね。」

「まあ、大した怪我じゃないけど、痛かったよ?」

その翌日には雨は止んだが、霧が物凄かったのを覚えている。
そして柵の向こうに牛がたくさんいて、弟と大騒ぎした記憶がある。

「子供ってすごいよな。牛で、はしゃげるんだから。」

「まあな。」

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