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テントの中でなんとやら

第1章 濡れた記念日

 いったい、いくつ貰えばいいのかしら……。

 しかも、私、ほぼ手ぶらで山に登ってきたのよ。

 持って帰れるかしら?

 なんか、いろいろあって、逆立ちしたキリンのピアスとかオレンジ色のハイヒールの存在忘れてたわ。

 これだけ貰ったら、誕生日プレゼントの有り難みが薄くなってきた。

 こうちゃんの手にはすでに1冊の本が……

 見ると、アンデルセンって書いてある。

 なんだろう……好きなのに鬱陶しさが滲み出てきた。


 そのあと、夢にまで見た淡い夢を、どうやってくれるのか……だよね。


 また、それからまだ続くはず。

 逆にどこまで、用意しているかが知りたい。

 こうちゃんが、その「アンデルセン」と書かれた童話の本を私に差し出した。

 私はおかしさのあまりに、手が震える。

「え……これも私に?」

「いや、うちの5歳の甥っ子にプレゼントしようと思うんだけど、5歳て、このくらい読めるよね?」

 くれるんじゃないんかい!!


 先走った自分が恥ずかしい。

 まあ、さすがに、童話は欲しくないけど、ヘップバーン……もいらない。

 どういう天秤のかけかたして、プレゼントを選んでるのよ。

 でも、私、甥っ子も姪っ子もいないから、どのくらいが読めるのかが、わからない。

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