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ラスト・ハート

第1章 絶望

ヴァンはルンをお姫様抱っこしながら歩き、ルンと二人できていたお気に入りの場所の大きな樹の下にルンを埋めてお墓を作った。

「魔王がいたから、ルンは死んだんだ...。」

ヴァンは目をつぶり、ルンのお墓の前でルンがしていたハートのネックレスの片割れを握りしめながら言った。

「俺があの魔王を殺す!
それができたら、またここにくるよ。
それまでここで待っててくれルン...。」

ヴァンは目お開けルンのお墓の前で立ち上がりながら言った。
その顔つきは今まで見た優しいヴァンの顔ではなく、魔王に対して殺意と怒りに満ち溢れた顔だった。

「じゃあ、行ってくるよ。」

ヴァンはルンのお墓に背を向けそう言い、どこかへ歩き出した。

サッサッ

魔王を殺すには武器がいる。
ヴァンはそう思いながら、世界中からあらゆるものが集まるというフェリル街を目指して歩いていた。
その時だった。

「助けてくれー!!!!!!」

誰かの助けを求める声が聞こえた。

「どこからだ?」

ヴァンは、周辺を見渡した。

「あれは、魔物か!」

二体の魔物に襲われている一人の男性の姿がヴァンの目にうつった。
ヴァンは武器も持たず、ただ魔物への怒りで魔物とその男性の方へ走った。

「ん?人間が一人増えたぞ。」

魔物はヴァンが走ってくるのに気づき言った。

「どうする?兄貴
俺があっちをやろうか?
魔王様には、逆らってきた人間は殺していいと言われてるし。」

魔物の1体がもう1体に問いかけた。

「そうだな。
あの顔は俺たちに向かってくる顔だ。
殺意がむき出しだからわかりやすいな。
お前が始末してこい俺はこっちをやる。」

兄貴の方と思われる魔物がヴァンを指差し笑いながら言った。

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