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ラスト・ハート

第1章 絶望

「じゃあ、あっちの人間は俺に任せてくれ!
俺が始末してくる!」

弟分の魔物が兄貴にそう言いながら、ヴァンに向かって走った。

「もうこれ以上魔物に人間は殺させない。
死ぬのはお前ら魔物だ!」

ヴァンは弟分と思われる魔物の方に向かってそう言い、
自分がどうしたら魔物に襲われている人を助けられるのかを考えた。

(俺にできることは、小さい頃から使えた炎魔法と村で教わった剣術だ。
けど、剣はない剣の代わりになるものもない。
なら、俺がもつもう一つの攻撃手段の炎魔法しかない。)

ヴァンは自分が今できる唯一の攻撃手段の炎魔法にかけることにした。

「おい!お前逃げるなら今のうちだぞ!
まあ、逃げたとしても人間はのろまだからなすぐに追いついて殺してやるよ!」

ヴァンが考えているうちに魔物との距離が縮まり、魔物がヴァンに向かって言った。

「逃げるわけないだろ。
それに、のろまはお前だ。」

ヴァンは手に炎を宿し言った。

「なんだと!?人間!
そんなチンケな魔法で俺と戦おうとしてることに後悔するんだな!
死ねエエェェ!!」

魔物は持っていた石の棍棒を振りかざし、ヴァンに向かって振り下ろした。

ガッ

「その程度か.....。」

ヴォウッヴォウッ

ヴァンは魔物が振り下ろした棍棒を炎を宿した両手のうち左腕で受け止めた。

「ありえねえ。
どこからそんな力が!?
こんなヒョロイ人間に俺が力負けするはずがない!」

魔物は自分の攻撃を片手で受け止められたことの動揺が隠せなかった。

「次は俺の番だ...。
覚悟しろ!」

ヴォウッヴォウッ

ヴァンは右腕に炎を集中させ、魔物の顔面にめがけて拳をふるった。

ドガーン

一撃で魔物の頭が吹き飛んだ。
それを兄貴分の魔物と襲われている人間も見ていた。

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