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林檎の香りがするお店

第1章 どしゃぶり雨が惹き寄せた

ふと外を見ると、少し雨がおさまって来ていた

『もう帰る?』

「そう、ですね。そろそろ…」

一瞬悲しそうな顔をした気がして言葉が詰まった

『弱いうちに帰んなきゃね。』

「コーヒーもありがとうございました」

紙コップの処理に困っていると、すっと手から消えてゴミ箱に入った

『どーも。』

ゆっくりほどけるような笑みにつられている自分に気づく。

『おねーさん、またおいで。』

そうだ、そうだ。とレジ側にまわった大野さんが、何かを書き始めた。

『名前は?』

「笹原です」

『下は?』

「空、」

『空ちゃんね。』

できた。と渡されたカードはお店のカードだった

『空ちゃんがまた来てくれるように。』

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