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林間学校

第4章 のぞきの代償

ママちゃんの泣いている姿が浮かんできて、あんないいママちゃんを泣かせるなんて自分はどんなに罪深いんだろうと翔太は震える。

あんな可愛い妹の聖良だって自分のせいで学校でイジメられたりツラい目に遭うだろう。

犯罪者、それもただの犯罪じゃない、女子の裸を盗み見るなんてもっとも卑劣で許されない重い罪のひとつを自分はしでかしてしまったんだ。

比呂志もまた同じようなことを考えて震えていた。ふたりは自らの行為に恐怖した。

「今はガキだからって許される時代じゃね~ぞ、こらっ。犯罪はきちんと罰を受けなければいかんぞ」

デモクミは鬼の形相でふたりを睨みつける。
ふたりは涙を流して震えあがる。

「ごめんなさい、ごめんなさい、警察だけは許してください」
「なんでもしますから」

翔太も比呂志も泣きじゃくりながら必死に許しを乞うた。

「う~ん、警察沙汰なんて学校としても不名誉だからな。しかし、処分を決めるのは被害に遭った女子たちだ。なんでもするって言葉忘れるんじゃね~ぞ」

デモクミは鬼のような顔をしながらも少しいやらしく笑った。

翔太と比呂志は女子棟にある集会室に連行された。そしてそこには既に体操服に着替えた女子たちが集められていた。

「みんな、このふたりが事もあろうか女子の風呂を覗くという罪を犯した」

デモクミがみんなを集めた主旨を説明すると、いや~とか最低とかいう黄色い声が上がって女子たちはざわめいた。

「さあ、自分たちがやったことを説明とお詫びしないか」とデモクミは翔太と比呂志のケツに蹴りをくらわせる。

「本当に悪いことをしました。ごめんなさい」と翔太の言葉を合図にふたりは同時に深々と頭を下げる。

「でも、湯煙が霧のように立ち込めて裸は見えなかったんです」

比呂志の説明に女子たちはどよめいた。いくら煙っていたって全く見えなかったなんて嘘だとか誰と誰のを見たか言いなさいとか騒然となる。

「湯煙でよく見えなかったというのは本当のようだ。それに万が一ちょっとでも見えてしまったのなら即刻忘れるように誓約させた。忘れなければ二度と使いモノにならないようにぶっ潰す」

誰の裸を見てしまったのかが分かればその女子が傷つくからそれは言わないというのはふたりとデモクミで決めたこと。

でも見たことは必ず即刻忘れることは固く誓約したことである。

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