テキストサイズ

林間学校

第2章 女子にドキドキ

早速みんなにヒューヒューと囃し立てられて、いっそ付き合ってしまえばとか騒がれたのだが、美樹は比呂志のことが嫌いみたいで、カンカンに怒って比呂志とは口も利かなくなってしまったのだ。

小学生の頃は水泳の授業は男女一緒に教室で着替えていたのだが、比呂志は女子の着替えをジロジロといやらしい目で見たり、自分はフルチンで着替えたりするようなヤツだった。
美樹が比呂志を嫌う理由である。

フルチンはともかく、女子の着替えをいやらしい目で見てしまうのは男子なら仕方ないことなのだが、比呂志は好きな美樹の着替えを見ていて、その視線が気づかれてしまったのだろう。

みんなが比呂志っていいヤツじゃん、付き合っちゃえばとかからかうもんだから、美樹に汚いモノをみんなに見せびらかしたり女子をいやらしい目で舐めるように見るなんて人として最低とまで言われて、フルチンのことや女子をいやらしい目で見たことまで暴露されてしまった。

比呂志には「フルチン王子」とか「エロガン」というあだ名が与えられて、中学になってから一緒になって小学生の頃を知らないヤツにまでフルチン王子とかエロガンと呼ばれている。

ちなみに、エロガンとは痴漢等の性犯罪を取り締まる警察の隠語で、ターゲットの女性を狙う男の独特の視線をこう呼ぶのだが、近頃の子供はこんな言葉もよく覚えるものである。

そんないきさつがあって、比呂志が一番前の方でどんよりと肩を落として座っていれば、美樹はうんと離れた一番後ろの方の席で不機嫌そうに座っている。

比呂志がどんよりと落ち込むもうひとつの原因は通路を挟んで隣に座っている貞子だ。
貞子というのはあだ名で、本名は沙羅。

沙羅といえば清楚な美人というイメージなのだが、残念ながら清楚な美人は遥か遠くて、貞子にそっくりなオカルティックな幽霊みたいな女子で、なんでわざわざ地雷を踏むかなという感じで霊感とかオカルトが大好きなのである。

貞子は比呂志のことが好きみたいで、遠足とかのバスやグループでは大体近くにいることが多い。

遠足とかの遠出のバスではいつもカラオケ大会が催されて、これも楽しみのひとつである。

今回もついにカラオケが始まろうとしているが、その前にお楽しみがある。

比呂志は小学生の時はフルチンで着替えたりするようなひょうきんなヤツで、お笑いが大好きで、その名前を活かして自虐漫談などをやっている

ストーリーメニュー

TOPTOPへ