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先生の秘密

第5章 ◎三角関係

「いい?閉めるぞ」
また前みたいに先生がドアを閉めてくれる。
先生も乗りこんで車が発進する。
しばらくしてあたしは気づく。
「…ああっ!」
「…はっ?なに!?どうかしたのか?」
突然あたしが大声を出したから、先生まで驚かしちゃった。
すっかり、忘れてしまっていた。
和樹のこと。
時計を見ると7時15分ぐらいを指している。
きっとあたしのこと探してる……。どうしよう…。
「大丈夫か?」
先生が心配してくれるけど、何だか言いづらい…。
でも和樹に電話は入れなきゃだから、やっぱり言おう。
「あの…実は今日、和樹と帰る約束をしてて…」
あたしは先生の顔色をうかがう。
一瞬、むすっとしたような……
でもすぐ、
「じゃあ、今すぐ電話しろよ?きっと心配してるだろ」
ああ…ほんとにごめんなさい。
あたしは携帯を取り出して和樹に電話をかけた。

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