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高校生だってムラムラする。

第1章 自慰

「あ、っん、は、あ……っ」

 くぐもった声が耳に入る。紛れもない私のものだ。夜もかなり更け、日付が変わった頃だろうか。私は自慰――俗に言う、オナニーに夢中になっていた。

「ふ……ふ、う……、ん……」

 恋人の顔を思い浮かべる。いつもの爽やかではつらつとしたものではなく、情欲が滲んだ、獣のような瞳。欲に毒された、整った彼の表情に、ひくひくとそこが刺激を欲しがった。
 今すぐにでも触れたいが、自分で自分を焦らし、そのあとに情動に任せて自慰をするのがたまらなく気持ちがいいのだ。

「ん、んん……」

 勝手に下半身に力が入り、わずかな気持ちよさにうっとりする。もどかしくてもっと気持ちよくなりたいのに、このまま穏やかな快感に包まれていたい。ひくりひくりとそこが動くと同時に、無意識に腰が揺れた。

「あ……ん、ぅ……」

 ああ、苦しい。もどかしい。もっともっと気持ちよくなりたい。
 薄い布団を股に挟み腰を振る。圧迫されて感じてしまうと、もう止まらない。腰の動きは大きくなり、やがてこの刺激にも慣れてしまう。

「ん、ん、っあ」

 触りたい。もう我慢出来ない。
 緩慢な動作でとうとうそこに触れる。じゅわりと快感が滲み、脳を犯す。なるべくゆっくりと腰と手を動かし、下着の上から圧迫する。
 この感覚が性感なのかどうかすら、私は知らない。友人とはこんな話はしないのだから。
 そんなことをぼうっと考えている間でも手は止まらず、感覚は強くなっている。だんだんと上に押し上げられているのが分かった。
 未熟なこの快感にも終わりはある。脚にぎゅうっと力を込めれば、額から汗が流れ落ちた。びくりびくり、とそこが動き、そこのある一部分にたまっていた気持ちのよさが、ばあっと広がるような――そんなイメージだ。

「っ、……っ! ふ、はぁ、は……」

 荒くなった息を整え、汗を拭う。ぬるついた下着にも構わず、疲れて重くなった瞼を下ろした。


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