テキストサイズ

高校生だってムラムラする。

第3章 限界

 熱烈な口付けの衝動をどうにか一旦治め、私たちは帰路についた。会話はあまりなかったが、それも気にならなかった。早く家に帰りたかったのだ。
 駅に着くと、別れ際、彼は私の頬にキスを落とした。照れ臭そうな笑顔で手を振ると、そそくさと背中を向けて駆けて行ってしまった。
 私は熱い頬のまま、急いで自宅に転がり込んだ。母は出掛けていた。リビングのクーラーをつけ、コップに注いだ冷たい水を飲み干すが、身体の火照りはとれない。荒い息を吐きながら、私はベッドに横になった。

「ん……」

 私は緩慢な動作で、ルームウェアであるショートパンツの上から、そこに手を押し付けた。癖になるような気持ちよさが広がり、手が止められない。下着は既にぐっしょり湿って、肌に張り付く感覚がする。
 いつものように自分を焦らすことなど一瞬たりとも出来なかった。手をあてがっただけなのに、あまりの疼きで手が言うことをきかないのだ。性欲がこれまでにないほどに強まっているのが分かって、その事実に対しても興奮し始めてしまう。

「っん、ふ……」

 鼻から抜け出る声。以前興味本位で覗いたアダルトサイトの映像に出演していた女優の声を思い出させて、一人で赤面した。恥ずかしさでどうにかなりそうだったが、手と腰の動きは止まらない。止められないのだ。

「ああ……、んぅ、んん……っは、んあ……」

 声を聞きたくなくて、額を枕に押し付ける。わざと出す声とは違う。いやらしい響きの、本物の喘ぎだった。いやだ、こんなの。いやなのに。

「んっ……あ、はあ……、ふ、ああっ……あ、は……」

 体が言うことを聞かない。もう勘弁して。そう思ったとき、頭の中に声が響いた。

『千秋』

 彼の声だった。ぞくりと恐ろしいほどに快感が増す。

「やだ……、あ、んっ……んぅ、あっあ、ああ……」

 嫌々と首を横に振って体を捩るが、声が止むことはない。むしろ、さらにはっきりと聞こえるようになった。

『もうこんなにして……やらしいんだな、千秋は』
「見るな、あ……」

 見ないで、見ないで。そう思っているはずなのに、擦る手は止まらない。ルームウェアのショートパンツはもう、ぐちゅりと音を立てるほどに濡れてしまっている。
 彼に見られていると思うと、涙が出るほどに恥ずかしい。それなのに、身体が熱くなった。快感は増して、思考がとろかされてゆく。


.

ストーリーメニュー

TOPTOPへ