あたしの好きな人
第2章 魅力的な友人
目が覚めたら、にんにくの香ばしい匂いがした。
お腹が空いて、目が覚める。
にんにくとコーヒーの匂いだ。
嬉しくなってがばりと身を起こすと、岳人が台所で、フライパンを揺する姿が見えた。
「ペペロンチーノっ、コーヒーだっ」
昔から、何故だか二日酔いの朝は、がっつりとした重たいモノが食べたくなる。
岳人はそれを分かっているから、こうして用意してくれる。
はしゃいだ気分になり、台所に行き、後ろから岳人に抱き付くようにして、
フライパンの中身を見て、歓声を上げた。
「……はいはい、いいから服っ、ちゃんと着なさい、ノーブラでパンツとか……襲うぞ?」
「やだ~、恐い~」
軽く笑いながら、クローゼットを開けて、取り敢えず脱いでブラを着けて、部屋着のズボンをはいた。
クローゼットの扉で、岳人には見えない筈なのに、呆れたようにため息をつかれた。
「色気ねぇなぁ、店に来た時はいい女ぶってた癖に」
お皿にパスタを盛り付けながら、岳人が手早くコーヒーも用意している。
テーブルの上にはサラダも盛り付けられて、さすがプロの仕事だと感心してしまう。
「あれは、オンの時、今はオフだし、休みだしね?」
テーブルに座り、岳人も手早く片付けて、向かい合わせで座った。
なんとなく、部屋の中も片付いているし、さりげなく、洗濯機が回ってる音もした。
「キャリアウーマンの上司ぶってたけど、中身おっさんだしな?」
「うるさい~」
お互いに頂きますして手を合わせて、ペペロンチーノを食べはじめた。
「……で、昨日の僕にお持ち帰りされて、また付き合うパターンか?」
食事の合間にさりげなく聞かれて、あたしは唸ってしまった。
「う~ん、昨日ね……途中から覚えてなくてさぁ……」
「途中からって、最中にか……?」
岳人の目が鋭く光る。
なんとなく、責めるような視線が痛い。
「……気が付いたら、体の節々が痛くてさ、年なのかって思ったんだけど、その……使用済みのアレが沢山あってね?恐くなって逃げて来ちゃったんだけど……」
「……つまりアレか?お前の意識がないのに、ヤられ捲ったと……!?」
「……そうなるのかなぁ?」