あたしの好きな人
第5章 新しい生活
「咲良のいいとこも全部……、ホクロの場所まで知り尽くしているのに……っ、何回イったら、俺を好きになってくれる?俺を……好きになってよ?」
びくん、びくん、びくん、
ベッドの上で痙攣して震え続けて、快感に霞む視界の中、
哲の不安そうな顔が見えた。
いったいどうしたというの?
お互いにイッた後に処理して、哲はシャワーを浴びて、裸のまま出てきてベッドの上で抱きしめ合う。
柔らかい髪がふわふわして、くすぐったい。
哲と一緒にいれば楽しいし、自然と笑顔になる。
岳人のことを思うとつらくて苦しい。
そんな恋愛はしたくなんてないんだ。
「幼馴染みの結婚式がもうすぐあるんだ」
「……さっき電話で話してた人?」
「そう、洋子は幼馴染みだから、結婚式には行きたいし、お祝いもしたいんだ、だけど、いけば大学時代からの友人もいるから……会いたくないなって思って……」
「友人なのに、会いたくないの?」
あたしの胸に顔を埋める、哲の頭を撫でる。
「会いたくない、会わせる顔がないの……」
「でもお祝いなんだから行けばいい、……いや、行かなきゃダメだよ、ずっと会わないままなのも、引き摺ってるみたいで俺は嫌だ」
「……哲?」
「それでちゃんと話して仲直りしたら、また、俺の元へ帰って来てよ、そうしたら、今度こそ本気でプロポーズするから」
「ふふ、プロポーズ…まだ言ってる?」
「当たり前~、俺、咲良大好きだから、絶対幸せにする自信あるし、毎日イかす自信もあるし」
「その、すぐに下ネタに持ってく癖、やめようね?」
「え~、だって本当のことだからさ」
ベッドの上でくすくす笑い合い、穏やかにただ抱きしめ合う。
洋子の結婚式に出て、岳人に会う。
岳人に……今度こそまともに会って話して、ちゃんと謝ろう。
それだけでいいじゃない。
どうなるかは分からないけど、ちゃんと話がしたい。
今の哲とのこの生活も壊したくはないから……。
ちゃんと岳人に会う。
そう心に決めると、なんだか体の力が消えて、一気に眠くなり、
そのまま哲を抱きしめて眠りについた。