あたしの好きな人
第6章 怒りの矛先
哲side
咲良は今日は泊まりだから、帰って来ないのは分かっている。
それなのに咲良の部屋で過ごし、彼女の気配が残る部屋で夕食を食べて、
お風呂にも入った。
湯船に沈み、長い髪を見つける。
……咲良の髪だ。
「……咲良」
その髪を掴んで、唇を寄せる。
髪の毛一本で欲情するなんて……。
風呂から出てベッドルームへと向かい、ベッドの上で咲良の残り香にまた欲情する。
早く帰って来て、それからまた、いっぱいしよう。
「咲良……咲良、咲良……ハッ…!」
うわごとのように、名前を呼び続けて、自分の分身を慰め続ける。
今頃きっと、好きな男に抱かれている。
それを想像して、腹立たしい嫉妬の炎にまた、熱くなってしまう。
「早く…帰って来て……」
そしてその体に、会えなかった時間の分の、欲望を注ぎ込むから。
楽しみだね。