地味に甘い君
第30章 繋いだその手を…
アパートに着くと、呼び鈴を鳴らす――――…
しかし、返事がない。
「どこかに出掛けてるとかじゃない?――――やっぱり…ヒモ説…疑っちゃうわね…」
ヤマト君のアパートの外観を見た姉ちゃんはヤマト君の胡散臭さに眉を寄せる。
「日本の貧乏学生は基本こんな感じの住まいだよ?」
「こんなボロくて狭い住まいをありがたく使うなんて――――…だから日本の家は犬小屋って言われるのよ…」
――――まぁ…確かに…狭いし古いのは否定しないけど…
この場所があって、僕がどんなに救われたか…姉ちゃんは知らないからな…
僕はヤマト君から合鍵をもらったときの興奮を思いだしポケットから鍵を出した。