地味に甘い君
第30章 繋いだその手を…
一応、合鍵を使う前に電話をしてみる…
――――ルルル…ルルル…
ルルル…ルルル…
「ねぇ…中で電話…なってるわよ?
ヤバい…ここ!壁も薄いじゃない!?」
――――は?電話が鳴ってる?って事は…
「ヤマト君?――――ヤマト君?」
僕はドアを何度もノックした!
しかし、応答はない!
僕は持っていた合鍵で鍵を開けると中に飛び込む――――!
と、ベッドから上半身だけダラリと投げ出した状態のヤマト君が 真っ赤な顔で倒れていた!
「キャッァ!な、なに?ちょっと、大丈夫なの?この子!」
「ヤマト君!?どうしたの?」
僕は靴も脱がずに駆け寄るとヤマト君の体を支えベッドに戻そうとした!
が――――!熱い!
「凄い熱――――…姉ちゃん!救急車!早く!」
「えっ、!?分かったわ!」
ヤマト君の体はびっしょり濡れていて相当長い時間汗をかいたのだろう…しかも…昨日僕の部屋を出たときの服装のまま――――?
「ヤマト君?ヤマト君?どうしたの?ヤマト君大丈夫!?」
「///ハァハァ…ハァハァ…ひと…りに…しないで」
――――え?ヤマト君?
ダラリと力なく僕の腕の中でヤマト君はカスカスの声で…“一人にしないで”と呟いた!?
「しない!するわけないだろ?僕は…ヤマト君がいないと…」
「///一人は…ハァハァ…ハァハァ…怖い」
「ヤマト君!?」
ヤマト君が力なくそう呟くと…気を失ったのか――――…ガクッと腹にあった手がベッドに落ちた。
「――――っ!ヤマト君!ヤマト君!」
「尚宏!救急車来たわよ!」