地味に甘い君
第31章 孤独の落とし穴
ある日…母の遺品を片付けていたら…
手紙と結婚指輪が出てきた。
「――――母さんの…」
手紙は…父さん宛だった。
読んではいけないと思いながら…
好奇心…いや…懐かしさのあまり読んでしまった。
しかし――――…封筒に入っていた手紙には…
『私は大丈夫。幸せになってね――――でも、ヤマトが大学に入るまでは、この届けを出さないで欲しい… ヤマトのお父さんとして見送ってあげて』
と、だけ書いてあった。
そして、一緒に入っていたのは…離婚届。
頭が真っ白になった…
その離婚届を書いた日付が…
母の事故の二日前…
「――――え?父さんと母さんって…離婚…する予定だったの?」
俺はその手紙と離婚届を封筒にしまい…元にあった場所に戻した。
――――意味が…分からない。