地味に甘い君
第34章 磨り減る絆…
中学2年の梅雨に母を亡くしてから…
もう…何年たっただろう…
大学に進学してからは、こちらに戻ってくることもできず…なんだか後ろめたい。
上京する前に一人でここに来て…母に「行ってきます」と、だけ告げた事を思い出す。
お寺の感じは何年たっても変わらず…時が止まったままのような…変な気持ちになる。
「お墓は無いんだったね…」
「あぁ…造ったとも連絡はないから…多分――――」
お寺は、夏のお盆過ぎにも関わらず手を合わせる人のために境内は開放されていた。
俺たちは何人か手を合わせる人を横目に、父方の親族位牌がある場所へと向かった。
沢山の檀家さんを抱えているこの寺は広いがお線香の香りが充満して…深呼吸もなんだか息苦しい。
「――――この辺が…父さんの親戚の…あれ?お骨が…見当たらない…」
俺が最後に母に手を会わせたのは四年前…
場所を間違えたのだろうか?
俺が知っている場所にはお骨らしい入れ物や…母の位牌はなかった。