地味に甘い君
第35章 君が奪われていく…
「…チコちゃん――――…いい高校に入ってたんだ…俺はそれすら知らなかった…」
「ヤマト大丈夫か?巴のお骨の事も…家の事も知らされていないなんて――――…お前たちの関係は…どうなっているだ!?」
――――シーンとした空気がキッチンに漂う。
グツグツと沸騰した鍋が…虚しく音を立てた。
「…叔父さん…叔母さん――――…ありがとうございました…
帰ります――――…
母を埋葬して頂き…感謝しています。
父と話して見ます――――…今まで…ありがとうございました」
「おい!ヤマト!?」
「そんな、ヤマト君?!帰るって――――どこへ?」
椅子から立ち上がったヤマト君は二人に頭を深々と下げ…
キッチンを出て玄関に向かって歩き出した。