地味に甘い君
第35章 君が奪われていく…
僕は慌ててヤマト君を追いかける!
「大丈夫です――――…ヤマト君には僕がついていますから!」
玄関を出るヤマト君を、引き止めようと叔父さんが追いかけるが――――…僕がそれを征して…頭を下げた!
多分――――…ヤマト君はこれ以上…父親に疑念を抱きたく無かったのかもしれない…
叔父さんと叔母さんから聞かされる…ヤマト君の知らない父の事実…
微かな望みや――――…愛情を…
縫い糸程度でも…握っていたかったのが…どんどん手から零れ落ちる――――…そんな状態なのかも知れない…
「ヤマト君……」
「家に――――…俺の住んでた家に行きたい…」
――――家に?
助手席に座り項垂れるヤマト君は…ボソッとそう呟いた…
「場所――――…教えて…連れてってあげるから」
「悪い――――…頼む…」
僕は――――…心配そうに見つめる叔父さんと叔母さんに頭を下げると…車を走らせた。