地味に甘い君
第35章 君が奪われていく…
数分後…その場所にはすんなり到着した。
――――そんな…
「ここ――――に…俺の家が…あった…のに…」
ヤマト君が示した場所には――――…叔父さんが言うように…
何も無かった。
取り壊され――――…空き地になった場所には、大きく赤い文字で「売り地」と書かれた看板が立てられていた。
「――――本当…に…壊した…のかよ?」
すでに辺りは暗く…車のヘッドライトがその場所をスポットライトのように照らしていた。
かつて…ヤマト君が家族で暮らしていた…思いでの家は…
父親がヤマト君に相談も無しに取り壊していた。
「――――バレない…分けないのに…なんで…教えてくれなかったんだろう…」
ヤマト君は何もなくなった…空き地の真ん中に立ち――――…そう、呟いた…
「――――俺…何か悪いこと…したかな?父さんに嫌われる事…したかな?
父さんは…俺がいなくても…平気なのかな?
父さんにとって…俺はいらない子だったのかな?」
空を見上げたヤマト君は…涙をこらえながら…更に呟いた…
「母さん――――…俺も…一緒につれてくはずじゃ無かったのかよ…ダメじゃん…一人で死んじゃ……
俺も――――…連れていってくれよ…」