地味に甘い君
第35章 君が奪われていく…
僕はその言葉に――――鳥肌がたった!
その、力ない呟きに僕は思わずヤマト君の手を掴んだ!
「ダメ――――…一緒になんか行かせない…
ヤマト君が行くなら…僕も一緒に行く!」
ゆっくりと振り替えるヤマト君の目は…
お世辞にも僕を見つめているとは…言えなかった。
「ダメ――――……どこにも…ヤマト君を一人で行かせたりしない…」
「跡形もない…母さんの思いでも…俺と過ごした日々も…
父さんにとっては…必要ないものだったんだ…」
どんどん曇っていくヤマト君の瞳は…完全に僕を映してはいなかった。