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秘密の楽園 / Produced by ぴの

第5章 秘密の楽園 4

☆m


そのまま真っ直ぐにこっちに向かってくるかずに内心バクバクで。


どこを見ていいのか分からない俺の視線はかずの胸元に収まる枕やら顔やら脚やら…


って何でかずの脚を見てドキドキしてんだよ。


男の、ましてや弟の脚にっておかしいだろっ…


大して広くもない部屋の中、そんな戸惑いの間に簡単に距離を詰められてしまって。


「…いい?」


寝転んだままの俺にかずの声が降り注ぎ意図せず飛び起きた。


「はぁっ?」


え、待って。


ちょっと待って。


これはどういう展開?


「え…な、いいって何がっ…」


口ん中パサパサで声も上手く出せていない俺を見つめながら、かずがこてんと首を傾げた。


恥ずかしそうに伏せた目元。


何となく頬が赤らんで見えるのは風呂のせい、だよね?


ドクンと脈が早まる。


今日の俺は完全におかしい。


かずの表情がグラビア写真にありがちなそれで。


真っ先に頭に浮かんだ展開がソッチ系って。


ありえない暴走を始める思考を促すようにかずが俺の枕の隣に自分のを並べた。


遠慮がちにベッドに乗ったかずの手がきゅっとシーツを掴んで。


「まーくんと寝てもいいよね…?」

「寝ても、って……えぇっ!」


危うく目が飛び出るかと思った。


なんなら心臓も一緒に出てくるかと思った。


いつも以上に落ち着きがないのは自分でもよく分かっている。


それなのにかずはベッドの上に落ち着いたまま。


少し前なら怪訝な顔をして部屋を出て行ったはずのかずがなんならちょっと笑顔まで見せてくれていて。


今日の俺はだいぶおかしい。


だけどかずもそこそこおかしい。


調子を取り戻そうにもかずの様子が今までと正反対でもはやパニック寸前。


「どうしたの、まーくん」


お願いだからまーくんって呼ばないで!


マジで心臓に悪い!


「昔はよく寝てたじゃん、母さんがいない時にまーくんとふたりで」


そんな俺に薄っすらと笑みを浮かべて止まらないかずのまーくん攻撃。


寝るって普通に寝るってことか…なんて、そんなのもうどうでもいいくらい冷静でいられない。


さらにはその隙にベッドを陣取られてしまって、ついに拒むこともできなくなってしまった。

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