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秘密の楽園 / Produced by ぴの

第6章 秘密の楽園 5

☆m


かずに届けと真っ直ぐに向けた言葉は遮るものもなくかずの元へ。


次第にふにゃふにゃし始めた頬の辺りがそれを証明している。


でも突然のことで気持ちが行き着かないのか、唇はむにむにと動くだけで何も返してくれない。


そんな落ち着かない唇目掛けてもう一度俺のそれを寄せた。


「ん、まーくん…」


柔らかい感触。


舌ったらずな口調で俺を呼ぶかずの声。


弟としてではなく、ひとりの人間として俺を求めるそれに甘さや欲の色が含まれている気がして。


一気に貪りつきたい気分に駆られる。


こんなにもかずを求めていたなんて…


ずっと兄弟という枠組の中でしかかずを見てこなかったけど、それを全て取っ払ってしまった今夜。


こんなにも視界がクリアになった。


弟だけど…

いや、弟だから…?

弟だとしても…

弟だって…


いろんな言葉が浮かんでくるけどその後に続くのはこれしかない。


俺はかずが好きだ。


きっとずっと前から…


固く閉じたままの唇を蕩けさせたくて親指を引っ掛けたかずの顎。


特徴的な黒子のあるそこもまた緊張感に包まれていたけど、クッと軽く力を込めれば僅かに隙間が現れたから。


「ぅんっ…まーくっ、んんっ…」


そのガードの緩まった隙をついて舌を差し込んだ。


「かず…っ、はぁ…」


歯列をなぞり、口内を舐め尽くす。


どこか甘く感じるのは俺の勝手なイメージから来るものなのか。


固いガードに守られてきたかずはまるでりんご飴みたいにみずみずしい。


引っ込んだまま絡めることもできないかずの舌に初々しさを感じて、込み上げてくるのは嬉しさと愛おしさ。


かずがずっと俺を好きで居てくれてよかった。


子どもの頃から変わらない無垢な姿に勝手に俺が守っていたって気持ちになっちゃう。


そんなのふざけんな!ってきっとかずは言うだろうけど…


「かず、ベーってして…?」

「ぅん……べっ、ンン」


恥ずかしそうに差し出された真っ赤な舌を掬い、息つく間もなく絡め合う。


きゅっと閉じられた瞳。


俺の腕を握りしめた手は助けを求めるように必死で。


そんなたどたどしくもキスに応えようとするかずが欲しくて堪らない。


もっともっとかずを露わにさせたい。

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