秘密の楽園 / Produced by ぴの
第2章 秘密の楽園 1
☆m
素っ気ないなぁ…
スマホに表示されたかずとの会話。
あの後すぐ『さっき転んでたけどケガしなかった?』って送信したんだけど。
『見てんじゃねぇよ、ばかまさき』
…さすがに冷たすぎない?
ちょっと心配しただけなのにばか呼ばわりなんてさ。
仮にもお兄ちゃんに向かって…
昔はもっとずっと可愛かったのに…
脳裏に蘇るまだ幼いかずの姿。
「待ってー、まーくん待ってよぉ」
「かず、急げって。早く帰らなきゃ母ちゃんに怒られんだろ」
ちょこちょことくっついてくるかずをよく連れ回していたっけ。
その頃から割と足が速かった俺はかずの足の速さなんて考えずに遊んじゃって、帰り道は毎日全力疾走でさ。
そうするとたまに後ろでかずが転ぶ音がするんだ。
「痛いー…!」
「かずっ、大丈夫…?」
慌てて駆け寄れば真っ白な膝に擦り傷。
微かに血が滲んでいるそこを押さえてかずは涙目で訴えてくる。
「痛くてもう走れない…」
転んだ時は大抵いつも同じ。
「おんぶして」
うるうるの目と尖らせた唇でそうおねだりされて、途中からいつもかずをおぶって帰っていたんだ。
遠慮せずのし掛かってきても軽い身体を背負って、夕焼けの中落とさないようにゆっくりと。
そうして母ちゃんに怒られるのはいつも俺だったけど何でか全然つらくなかった。
それなのに…
この素っ気ない返事は何なのだろうか。
何ならあの頃みたいにかずをおぶって帰ってもいいのに。
…って高校生にもなってそれはさすがにないか。
そんなこと考えてるから翔ちゃんにブラコンって言われちゃうんだろうな。
「あ、いた!」
ガラリと教室の扉を開けて現れたマネージャー。
「キャプテンが探してたよ。なにやってんのよ、こんなとこで」
「あぁ、ちょっとね…」
実はさっき授業中にしでかしてしまったせいで掃除をさせられていた最中。
かずのことを考えてたらいつの間にか練習時間を過ぎていたみたい。
「もうしっかりしてよ、エースでしょ」
そうマネージャーに喝入れられて慌てて掃除を終えた。
素っ気ないなぁ…
スマホに表示されたかずとの会話。
あの後すぐ『さっき転んでたけどケガしなかった?』って送信したんだけど。
『見てんじゃねぇよ、ばかまさき』
…さすがに冷たすぎない?
ちょっと心配しただけなのにばか呼ばわりなんてさ。
仮にもお兄ちゃんに向かって…
昔はもっとずっと可愛かったのに…
脳裏に蘇るまだ幼いかずの姿。
「待ってー、まーくん待ってよぉ」
「かず、急げって。早く帰らなきゃ母ちゃんに怒られんだろ」
ちょこちょことくっついてくるかずをよく連れ回していたっけ。
その頃から割と足が速かった俺はかずの足の速さなんて考えずに遊んじゃって、帰り道は毎日全力疾走でさ。
そうするとたまに後ろでかずが転ぶ音がするんだ。
「痛いー…!」
「かずっ、大丈夫…?」
慌てて駆け寄れば真っ白な膝に擦り傷。
微かに血が滲んでいるそこを押さえてかずは涙目で訴えてくる。
「痛くてもう走れない…」
転んだ時は大抵いつも同じ。
「おんぶして」
うるうるの目と尖らせた唇でそうおねだりされて、途中からいつもかずをおぶって帰っていたんだ。
遠慮せずのし掛かってきても軽い身体を背負って、夕焼けの中落とさないようにゆっくりと。
そうして母ちゃんに怒られるのはいつも俺だったけど何でか全然つらくなかった。
それなのに…
この素っ気ない返事は何なのだろうか。
何ならあの頃みたいにかずをおぶって帰ってもいいのに。
…って高校生にもなってそれはさすがにないか。
そんなこと考えてるから翔ちゃんにブラコンって言われちゃうんだろうな。
「あ、いた!」
ガラリと教室の扉を開けて現れたマネージャー。
「キャプテンが探してたよ。なにやってんのよ、こんなとこで」
「あぁ、ちょっとね…」
実はさっき授業中にしでかしてしまったせいで掃除をさせられていた最中。
かずのことを考えてたらいつの間にか練習時間を過ぎていたみたい。
「もうしっかりしてよ、エースでしょ」
そうマネージャーに喝入れられて慌てて掃除を終えた。