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僕らのらんど

第5章 美女と兎

「あれ? おかしいな。モンスターを倒したら『クエストクリア』って出るはずなのに…」

「!!」

アカツキちゃんの言葉で、僕たちは再度盛り上がった地面を凝視した。
微かに土が動くのが見えた。

「マジかよ…」

「ちっ、しぶとい女だぜ」

「嘘でしょ…」

「もうこんなの、逃げるしかないよ!」

「皆さん、逃げましょう!!」

僕たちは一斉に車に向かって駆け出した。
瞬間、背後で「ドゴォ!!」と地響きのような音がした。

『ニンゲン…ドモガァァァァ!!』

思わず振り返ると、顔が半分グチャグチャになった呉葉さんが八本の脚を使ってこっちに向かってきていた。

「ひいぃぃぃぃぃ!!」

もはやゾンビだ。
頭を撃ち抜かないと死なないのでは!?

「れんじ! 銃は使えないのか!?」

「使えてたら今頃撃ってる!」

だよな…。
兎太郎はもう魔法使えないって言ってたし、みんなも体力の限界がきてる。
あとは火魔法を使えるまあやさんに頼るしか…。

そう考えてると、ヒロキさんの車がこっちに走ってきた。

「ヒロキさん、ナイス!」

僕たちの危険を察知して迎えにきてくれるなんて、さすがヒロキさん!
体は心配だが、ひとまず車で逃げて対策をまた考えよう。

「!?」

しかしヒロキさんはスピードを緩めない。
むしろ徐々にスピードをあげて、僕たちの横を簡単に通りすぎた。

「え…」

ヒロキさんが向かってる先は、巨大蜘蛛化した呉葉さんのもとだった。

「やめろ、ヒロキっ…!!」

れんじが叫ぶ。


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