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僕らのらんど

第5章 美女と兎

『バカな人間どもよ! 貴様ら全員喰ってやるわ!』

巨大蜘蛛化した呉葉さんが、体を揺らしながら猛スピードでこっちに向かってくる。

「グラウンドエッジ(大地の刃)!!」

兎太郎が土魔法を発動させた。

「!」

瞬間、地面が揺れたかと思うと、あちこちでボコボコとマグマのように地面が盛り上がり、土が刃のような形となって巨大蜘蛛に襲いかかった。

『ギャアアアアアッ!!』

巨大蜘蛛化した呉葉さんの悲痛な叫びが辺りに響く。
土埃が舞う中、巨大蜘蛛が土に埋もれていくのが微かに見えた。

「……やったのか?」

辺りはシーンと静まり返っている。
どうやら僕たちは今度こそ巨大蜘蛛を倒せたらしい。

「巨大蜘蛛に、勝った……」

アカツキちゃんがヘナヘナと地面に座り込んだ。

「アカツキちゃん!」

まあやさんが心配して駆け寄る。

「はは、大丈夫。ちょっと安心したら力が抜けちゃった」

そんな二人のやりとりを見たあと、僕も脱力して長いため息を吐いた。

「ありがとな、兎太郎」

「もう魔力を全部使い果たして動けないぴょん。今日はもう戦えないぴょん…」

そう言ってフラフラして歩く兎太郎。

「うさぴょん!」

いつのまにか月影が来て、ヘロヘロの兎太郎を抱っこしていた。
れんじも釘バットを手にしたまま戻ってくる。

「ヒロキは?」

「車で休んでるよ」

「そうか…」

僕とれんじは巨大蜘蛛が埋もれている場所へと視線を移した。
これで幽体の呉葉さんは満足してくれるだろうか?

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