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僕らのらんど

第8章 集結

「菜々!!」

オレは遠ざかっていく少女の姿を追いかけるように、右腕をまっすぐ伸ばしながら目を覚ました。

「…っ…」

しかしそこに見えたのは見知らぬ天井と、ウサギの耳だった。

──ウサギの、耳!?

「あ、目が覚めたぴょんか?」

「…………」

ヒョイッとウサギがオレの顔を覗き込んできた。
白い毛並みのウサギが口を動かしてしゃべっている。

「……オレはまだ夢を見てるのか?」

「夢じゃないぴょん。ここは"トウキョウ"だぴょん」

「えっ…」

オレは勢いよく体を起こした。
ビックリしてウサギが後ずさる。

「急にどうしたぴょん?」

確かオレは死神に腹を刺されて死んだはず。
だからこのゲームからログアウトしたはずだ。

試しに空中で指を動かすと、オレのステータス画面が出てきた。
しかもHPは全回復している。

「なんで…」

辺りを見回すと、ここはどこかのホテルの一室のようだった。窓からは東京タワーや高層ビルが見える。
大阪にいたはずなのに東京にいるなんて、オレが気を失ってる間に何があったんだ?
それにあの夢…。
あの少女は一体…。

「ひなたくん!?」

突然部屋の扉が勢いよく開いたかと思うと、まり先生が飛び込んできた。

「良かっ…目が覚めて良かった!!」

そう言いながらまり先生は涙を流す。

「ちょ、別に泣かなくても…」

「だってひなたくん、一週間も眠り続けたままだったんだもん! もうそのまま目が覚めないのかと思ったの!」

「え、一週間も…?」

「ひなたくんが死神に刺された時に、他のプレイヤーさんが助けてくれたの。それでギリギリHPを回復してもらって死なずにすんだんだけど、全回復してもずっと目を覚まさなくて…」

「そうだったんだ…」

じゃあ意識を失う瞬間に聴こえたあの声は、他のプレイヤーの声だったんだな…。

「やんすさんは?」

「やんすさんは…」


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