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僕らのらんど

第9章 それぞれの想い

「あの~すみません。地下迷宮でもモンスターと戦えば生命体エネルギーはある程度吸収できるのでは?と思うのですが、レベル90のモンスターと戦うのは必要不可欠なのでしょうか」

いかにも真面目くんというような雰囲気を持った少年が発言をする。

「モンスターのレベルが高ければ高いほど、生命体エネルギーは一度に多く吸収できるんや。せやからレベルが上がり次第、わいが強制的にレベル90のモンスターの前に転送したるさかい、ガンガンレベル上げしてくれや」

…てことは僕たちは休む暇もなく戦わなければいけないってことか。
「はあ…」と重いため息をつくと、おもむろにれんじが席を立った。

「地下迷宮はどこだ」

れんじはすでにヤル気満々みたいだ。

「このビルの地下1階から5階までよ。武器防具アイテムは1階のロビーにあるわ。好きなのを持って行って」

つくしさんがそう言うと、れんじはすぐに部屋を出ようとした。

「待ってよ、れんじ!」

その後をアカツキちゃんが追いかける。
だけどれんじは振り返らなかった。

「れんじ? あたしも行くからちょっと待って!」

アカツキちゃんがれんじの腕を掴もうとすると、れんじはそれを振り払った。

「!?」

僕は自分の目を疑った。
れんじがあんなに大事にしてたアカツキちゃんにそんな態度を取るなんて…。

「れんじ…どうしたの?」

「アカツキ……もう仲間ごっこはやめようぜ」

「……え?」

れんじが発した言葉に目を丸くする。
仲間ごっこって…いや、仲間だろ?

「アカツキ…お前ももうわかってるよな? 最初からヒロキなんて居なかった。俺とアカツキもサバゲー仲間じゃなかった。赤の他人だ。俺たちは記憶をまんまと情報操作されたってわけだ」

「!」

なんだって?
ヒロキさんは最初から居なかった!?
じゃあヒロキさんは……。

「……わかってるよ。わかってたけどっ……でもあたしたち一緒に戦ってきたじゃん! 仲間じゃん!」

そうだよ、アカツキちゃんの言うとおりだよ。
みんな最初は赤の他人だった。
でもこの訳のわからない世界で共に戦ってきたんだ。


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