
ドSメイドは基本普通の子
第27章 【最終章】ドSメイドは基本普通の子
「――――捨てちゃった?」
「捨てないわよ…大事な証拠品だもの…ちゃんと取ってあるわ…
犯人に粉々にされたけど、アイツの指紋はベタベタと付着していたから…捨てたかったけど…
大事な証拠品だと言われたら…捨てるに捨てられなくて――――…ちゃんと保管してあるわよ…
でも――――…和歌子には…見せたくない…あんな――――…あんなボロボロの携帯…」
母の苦悩が――――…一気に流れ込んできたようだった。
当時の私の姿と携帯が重なって見えるのだろう…
尾長さんの指紋が付着したボロボロの携帯…
私を犯して…包丁で切りつけた…
憎い犯人の残した…証拠品…
捨てられればどんなに楽だろう…
「――――そう、壊れてて…使えないんだ…」
皆から連絡が入っていたかもしれないけど…
電源も入らないと言うなら…
連絡を取る術が私には…ない…
