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僕ら× 2nd.

第1章 みをつくし --Shu,Tk,R

~世尾湊(リース)side~

自らを問われて、こう答えた。

「未熟な小心者」

だって。
彼女の気持ちを、もう明確に把握するまで俺は、曖昧な告白で反応を窺った。
冗談のように調子よく装った。
フリの関係で気持ちを伝えても、それは伝わってはいなかったんだ。

そして、彼女に告白させてしまったんだ。
そして、泣かせてしまったんだ。

柊兄は、伝えることは大切だと教えてくれたのに。
アル兄は、拒まれても自分の想いを伝えたのに。

俺は、怖くて。
彼女に甘えた。
保身の俺は、キミに誠実じゃなかった。

それは、今だからわかること。
そして、今も騙し続けている。

「次男、見つかるといいね」と孝明は言う。

「見つかったら、どうなるかなぁ?」と俺は返した。

こうなった今、現れたらどうなる?
ホント、どうなるんだろう…。

考える程、彼女は俺のすぐ近くで。
他の男と寄り添っている。

それでもこの写真の空間では、永遠にふたりは恋人であり続け。
今も永遠に、彼女の笑顔は俺の隣に。

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