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僕ら× 2nd.

第7章 花婿の弟 --Hzm,Ar,R

「吉坂侑生(ユウ)」

と、招待状を俺に見せる。

「侑生?アルはどこ行ったんだ?」

イニシャルもダブルでYじゃないか。

「人偏に有だからアルなんだ」

「はぁっ?お前の本名なんて気にしたことなかったよ」

「それは俺も同じ」

「世間は狭いなぁ」と柊だけが楽しそうにケラケラ笑う。

「俺も、花野に兄貴が2人いるのは知ってたけど、まさか帆澄兄だったとはね。花野とも和波さんともどっこも似てねぇし!」

と、ヤツは俺の顔をマジマジと観察する。

似てなくても兄妹だっての。

それに、ああ、侑生か…。
侑生君って花野が言ってたの、聞いた気がするな…。

だけど、この男にヤ行なイメージ全くない。
(ヤ)優しくて(ユ)豊かな(ヨ)余裕とか、正反対だろ?

俺なら、こいつの名前全てに濁音つけてやるのに。

「はあぁぁ、お前かぁ…」

俺が大袈裟にため息をつくと、ヤツは甘えたように俺の服の袖を引っ張る。

「よろしくね?お兄ちゃん。弟には優しくしてくれよな?」

「断固として嫌」と、俺は腕を振り払った。

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