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僕ら× 2nd.

第7章 花婿の弟 --Hzm,Ar,R

~世尾湊(リース)side~

控えめにラメの入ったグレーワンピースに身を包んだ彼女を眺めながら、駐車場で兄貴たちの会話を聞く。

「なぁ、アル。お前、就職先は技術関係っていうけど、花野に変な実験とかすんなよ?白峯もそこを心配してるんじゃないか?」

兄貴の就職先?
大きな声じゃ言えないけど、それは実家だろ?

「何?それ」

「サイボーグとか。例え世のためになろうとも、花野のためにならないことは誓ってすんなよ?花野がいいって言っても、俺の許可なくすんなよ?」

帆澄兄…。
問題児アル兄を認めてるんだ…。

「サイボーグ?んなのしねぇよ。俺は生身のぷにぷにした花野を好きなんだ」

「おかげで彼女失明しましたが、社会に大貢献って美談は作るなよ?」

光には影あり、だよな。
声を出せない生命をも、傷つけずに生きられればいいのに。
俺も知らないうちに、犠牲の上の有益を手にしてしまっている。

「お兄ちゃん、侑生君は大丈夫だよ」

澄んだ声が響く。

「うん、わかってるよ。念のため」

兄貴、ごめんね。
彼女と俺とのこと見守ってくれてたのに。

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