僕ら× 2nd.
第7章 花婿の弟 --Hzm,Ar,R
***
車中で小柴さんと話す。
「待たせたな」
「ううん。和波兄と喋れてよかったね」
「そうだな。ちょっとした挨拶だけだったけど、できてよかったよ」
穏やかに彼は話す。
「本来なら披露宴も堂々と出席できるのに」
俺も彼女の隣で、彼女の髪飾りとお揃いの花なんて胸にさしたりして。
「あんな仰々しいの、頼まれたって嫌だね」
その気持ち、すごくわかるけど、それは強がり。
「あはっ、同感」
笑い終わると、射し込んでくる陰影。
…未来に潜む彼女の挙式を…俺はまた、遠くから見つめることになるのだろうか?
その時も、こうして笑っていられるだろうか?
この帰路を、一糸乱さず進めるだろうか?
「……なあ、リィ」
前を見据える俺に、彼はついに口を開く。
「はい」と手短に俺。
もう聞かれる内容はわかっている。
「今でも?」
彼は俺の左手首を見ながら尋ねる。
本日の式の間、彼女の手中に馴染みのリスを見つけた俺は、その姿勢に、その精神に回帰する。
伊織を参加させてくれているんだね。
やっぱりキミは俺のキミ。
やっぱり俺はキミの俺。
キミの挙式にはそのリスの、魔法が解けて人間の花婿に変身するんだよね?なんて。
「これって意地なのかな?」
彼女を切った俺なのに、彼女の心変わりを悲しんでる。
キミは俺と約束しただろ?って詰め寄り迫る自分がいる。
そこに存在する感情を、俺はどう扱えばいいのか、まだ迷ってる。
彼女の幸せのためには、俺は一歩引かなくてはと。
俺は充分彼女を傷つけたんだから。
わかっていても認めたくない。
「深く考えるお前のこと。それだけ特別なんだ」
彼は俺の苦渋を溶かしてく。
そして、意識の方向を変えた。
車中で小柴さんと話す。
「待たせたな」
「ううん。和波兄と喋れてよかったね」
「そうだな。ちょっとした挨拶だけだったけど、できてよかったよ」
穏やかに彼は話す。
「本来なら披露宴も堂々と出席できるのに」
俺も彼女の隣で、彼女の髪飾りとお揃いの花なんて胸にさしたりして。
「あんな仰々しいの、頼まれたって嫌だね」
その気持ち、すごくわかるけど、それは強がり。
「あはっ、同感」
笑い終わると、射し込んでくる陰影。
…未来に潜む彼女の挙式を…俺はまた、遠くから見つめることになるのだろうか?
その時も、こうして笑っていられるだろうか?
この帰路を、一糸乱さず進めるだろうか?
「……なあ、リィ」
前を見据える俺に、彼はついに口を開く。
「はい」と手短に俺。
もう聞かれる内容はわかっている。
「今でも?」
彼は俺の左手首を見ながら尋ねる。
本日の式の間、彼女の手中に馴染みのリスを見つけた俺は、その姿勢に、その精神に回帰する。
伊織を参加させてくれているんだね。
やっぱりキミは俺のキミ。
やっぱり俺はキミの俺。
キミの挙式にはそのリスの、魔法が解けて人間の花婿に変身するんだよね?なんて。
「これって意地なのかな?」
彼女を切った俺なのに、彼女の心変わりを悲しんでる。
キミは俺と約束しただろ?って詰め寄り迫る自分がいる。
そこに存在する感情を、俺はどう扱えばいいのか、まだ迷ってる。
彼女の幸せのためには、俺は一歩引かなくてはと。
俺は充分彼女を傷つけたんだから。
わかっていても認めたくない。
「深く考えるお前のこと。それだけ特別なんだ」
彼は俺の苦渋を溶かしてく。
そして、意識の方向を変えた。