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僕ら× 2nd.

第8章 小柴の予感 --Ar,Shu,Kn

路肩にクルマを停めた彼は、ナビを触りだす。
ホントに病院に行く気ー?

「花野は高校生だから、公表は卒業してからにして。大学は、もしかしたら休学ってなるだろうけど落ち着けば、また通えるし。学生同士だけど、住む場所もあるし、生活費くらい俺が何とかするし」

何か進んでる、侑生君の中で何かが進んでるっ!

「和波さんと帆澄兄と…白峯さんにも洗礼受けるかもしんねぇけど、クリアしたら晴れて俺らは夫婦だ」

洗礼?
クリスマスだからっ?

夫婦って…私たちが?

ど、どうしてこんな話に…?
私、ちょっとしんどいって言っただけだよね?

私が先ほどからの会話を思い返しているうちに、彼はひとり呟くように言葉を発する。

「あった!Yレディースクリニック…。ウェブサイトも見てみよう…。ふんふん、良さそうだな……。へぇ、立ち会い出産もいいなぁ……」

出産!って誰がっ?
私がっ?

私、妊娠しましたと思われてます?

と、彼の指がルート案内開始をタップする。
あ、まだ発車しちゃダメーっ!

彼の手がレバーを操作する前に、腕をぐいと引っ張った。

「あの、侑生君。聞いて?しんどいって言ったのは…私ね、えと、女のコの日なの」

「女のコの日?そんな日があったのか。俺、今日はクリスマスだけだと思ってたよ」

あ、これじゃわかんないか。
男の人にはっきり言うのは、ちょっと抵抗があるんだけどな…。

「…うん、生理なの」

「え?生理?………ってことは、デキちゃったわけじゃねぇの?」

やはりっ?

「ないです」

「えっ?いや、俺、つわりかと思った…。えっと、そっか、結婚はまだか…ちょっと残念…。生理…なら、車イスで館内巡る?」

「ええっ?」

侑生君、優しいんだけど面白い…。

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