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僕ら× 2nd.

第1章 みをつくし --Shu,Tk,R

~本條柊(シュウ)side~

あの次の日も女は脱力気味で、医者に診てもらい点滴中。

クスリはやってなかったらしいけど、ちゃんぽんで酒をあおったらしい。

「なーんでそんな無茶苦茶したんだ?」

寝台でおとなしく目を開ける女に尋ねる。

「このあと、ふたりきりになれる?」

「何でだよ?」

「ここでは言えないから」

そう言われて考える。

別れてもうすぐ1年の俺に、ここでは言えないハナシ?
昨年秋には吹っ切れたと思っていたけど、恋愛系?

「じゃ、メールは?」

付き合ったとはいえ、その後をよく知らない女。
他を巻き込む恐れのある自宅には、にわかにあげ難い。
それにホテルなんて行っちゃったら、また俺は甘い気持ちになるかもしれねぇ。

「…柊君、読唇術できる?」

「やってみ」

そこまでして俺に伝えたいことがあるならば、と俺は彼女の唇に意識を集中させる。

顔色の悪いあの男とキスを交わしていた唇。
いつか俺を咥えていた唇。

一息吐いた俺は、これは仕事と入れかえた。

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