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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

車内で昼食を食べる頃には、彼女の顔色も元に戻り、笑顔もみられるようになった。

「心配かけてごめんね。久しぶりの飛行機で油断しちゃった」

「無理するなよ?荷物なら俺も持つから」

「じゃ、私は晄志君の荷物を持つね」

「何でだよ?」

その取りかえっこ、意味ないから。

「ヨーダ。私の荷物も持って?」と小津が言う。

「それこそ何でだよ?」

さっきから一番元気に喋ってるじゃないか。

そう思って軽く睨む俺に、小津は挑戦的な視線を飛ばす。

「私、思うのよ。アル先パイや速水がいなかったら、ヨーダが花野の彼氏だったんだろうなあって」

「っ!」

「今でも好きなんでしょ?花野のこと」

彼女の前でそんなこと言うか?

「や、やめてよ。マコ」と彼女が頬を膨らます。

「そうですよ、小津さん。彼氏と離れてるからって、晄ちゃんをいじめないでください」

祐一朗にもかばわれて、俺はひとつ息を吐く。

「俺は、心配しただけだよ。俺がいるのに倒れられちゃ、アル兄や伊織に弁明できない」

「あらあら、立派な言い訳ですこと」

「何が言いたいんだよ?小津」

そういえば、伊織もこんなふうに小津に突っかかられてたなぁ。
あの時は、小津ってもしかして伊織を?って思ったこともあったけど。
これは、正真正銘の憂さ晴らしのサンドバッグだな。

滝沢からのとばっちりか…。

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