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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

「距離を縮めるなら邪魔者のいないこの旅行で!とか思ってるんじゃない?」

小津を無視することに決めた俺は、おろおろする彼女に笑顔をおくる。

「ねぇ、花野ちゃんは何科に行くとか考えてる?」

「え?診療科のこと?うーん、そこまで考えてないなぁ。2人は決めてるの?」

彼女は俺と祐一朗の顔を見るから、2人で首を横に振る。

「んーん、参考に聞いたの」

「あそこの整形外科の飲み会は、はっちゃけてるらしいから、花野にはあわないかもよ?」と小津。

「周辺の店から出禁くらってるみたいだもんな」

酔ってグラスを割りまくったとか、他の個室に入りこんでヤバいことをしてたとか…。

「そうなんだ…詳しいね」

目をぱちくりして、彼女は小刻みにうなずいた。

しばらく診療科話で盛りあがったあと、祐一朗が話しだす。

「そうだ、晄ちゃん。脳内(脳神経内科)のあのウワサ聞いた?」

「あのって、あの?」

「そう。どう思う?」

「入局してみなきゃわからないな」

「え?何、何?」

食らいついてきた小津に、俺と祐一朗は説明する。
それを彼女も驚き顔で、口に手を当てて聞いていた。
薬指のリングに目をそらした。

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