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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

***

世尾さんの運転で、駅に着いて。
みいちゃんのペンフレンドとご対面。
みいちゃんったら、相手は男の人じゃないの!
私、てっきり女のコだと思ってたわ。

いくらお手紙を交わしてたって、お互い初めて会って2人っきりって、よくないわ。
ネットで知りあった男性と…っていう事件を何度も聞いたことあるもの。
感じの良い人っぽいけれど、だからって。

ガイドの世尾さんがしっかりした人でよかった。
やっぱり世尾さんってカッコいいな。
そう思って振りかえる。

私たちの後ろにいた世尾さんは、口を軽く開けてから深く息を吐いた。

「キミがペンフレンド?」

「どうも。小柴孝明です」

その人は、ニコニコと挨拶した。

クルマに戻った4人は、山中にそびえる城方面へ。
冷たい石畳の広場で、日がかげり。
上着を羽織っても寒い私は、襟元を締めながら歩いた。

「使って」

見かねた世尾さんが、マフラーをぐるぐると巻いてくれる。
あったかい。
それにフワッとかすめるコロンの香り。
知ってる気がする懐かしい香り。

「でも、世尾さんが」

「これくらい平気。この近くで暮らしてるんだから。歩いてると俺は暑いくらいだし」と、笑う。

みいちゃんはというと、小柴さんと随分先を歩いてる。

私が歩くの遅いのかな。
あまり立ち止まらないよう心がけるんだけど、世尾さんが要所要所で説明してくれて。
いつの間にか2人は見えなくなって。

「例年はもう少し暖かいんだけどね。今年は寒気団がなかなか弱まらないみたい。加えて今日は風も強いし…」

「手袋も持ってきたらよかったね」と彼は笑って私の手を握った…。

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