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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

居城をぐるっと巡ったあと、世尾さんが言った。

「ここ、入って。暖まろう」

「え?入っても?」

「内緒ね」

keep outの縄を抜けて暗い通路を過ぎ、重たいドアを開けると、そこは暖炉のあるこじんまりした部屋だった。

すぐに彼は火を起こし、小枝を数本加えた。
チラチラとした炎が少しずつ膨らむ。

「ガイドだけの特権。みんなが観光してる間、ここでくつろぐんだ。そこに掛けてて?今、温かい飲み物作るから」

「わぁ、素敵!ありがとうございます」

言われたとおりのソファに腰をおろす。
ミルクパンを火にかけた世尾さんが、膝掛けを持ってきてくれた。

彼は、鍋の具合をみながら棚からコップをふたつ出す。

「あ、何だかとてもいい香り」

「だろ?スタンダードにオレンジとリンゴとシナモンとクローブ!ちょっぴしジンジャー。作ってからそんなに時間経ってないから、いけると思う」

フルーツとスパイス。
一体何ができあがるんだろう、とワクワクして待った。

「はい。グリューワイン、どうぞ。アルコール飛んでるから、未成年でも大丈夫!」

「ありがとうございます。わぁ、もう香りから温まりますね」

「よかった」

彼はくっとコップを掲げて、ニッコリと乾杯を示した。

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