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僕ら× 2nd.

第9章 城 --Khs,Kn,R

俺の心に住み続けるキミ。
これまでは、汚すものかと避けていた。
何度か夢に見た記憶はあるけれど。

だけど、キミは男を知った。

もう耐えきれなくて俺は、キミを猛るエサにした。
まだ見ぬキミの白い身体を想像して、何度も何度も…それこそ毎晩のように、キミを想って自分を慰めた。
女を抱く時は、キミとの行為にすり替えた。

そうして果てて、罪悪感にさいなまれる。
なのに次の刹那には、火がついたようにキミを求める。

この想い、どうか鎮めてくれないか?

今ここで、まどろみのキミに恋を説き、俺の素性を打ち明けたなら。

今まで謀ってきた俺を、キミは非難する?
遠い男に助けを求め、その瞳に絶望の色を浮かべるのだろうか?

それとも、この再会を嬉々として受け入れ、俺を最愛と囁いてくれる?

「花野、好きだよ」

こんなにこんなに好きなんだ。
言葉にすると、更に感情が溢れだす。

キミがほしい。
俺の全身がそう叫んでる。

キミにかぶさって、その唇、奪ってもいいだろう?
もう俺の野蛮な獣は首をもたげてる。

今日、キミをさらっても、きっと俺は逃げおおせる。
ふたり、一緒に暮らせるんだ。

誰よりもキミを大切にするから。

だから、俺の侵入を……諦めて…?

俺が体重をかけたソファは、ギシッと鈍い音を鳴らして傾き、そしてキミは瞳を開ける。
すぐ目の前に俺がいるのに、慌てるでもなく不思議そうに首を傾げた。

まだ眠気の覚めないその瞳…。

俺はキミに訴える。
あの日の誓いを実現させよう…。

「花野、結婚しよう」

キミの瞳が左右に揺れる。
そして、ふたりの瞳がかち合った。

「俺が誰なのか、わかる?」

カラカラの喉で俺は声を絞り出す。

そんな俺に花のようにキミは笑いかけ。
そして静かに瞳を、閉じた。

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